昨日は名古屋ウィメンズでしたね。
昨年は前田彩里選手の転倒からの日本人トップでのゴールというドラマがありましたが、今年はまた違った意味で注目の大会でした。
リオ五輪女子マラソン選考の行方
それはこの間たびたびマスコミ等でも取り上げられてきたリオ五輪マラソン代表選考の行方です。世界選手権7位で代表選考基準8位以内入り唯一の代表選考が決まっている伊藤舞選手。代表枠は合計3つですので、必然的に残り2枠での争いとなります。
さいたま国際マラソン、大阪国際マラソン、名古屋ウィメンズマラソン、上記3大会において、日本人3位以内に入ること、また日本陸連設定記録2時間22分30秒を切ること、などが選考基準としてあげられていました。
さいたま国際マラソンで日本人トップの2位に入った吉田香織選手は2:28:43でタイム的に不利な状況がありました。大阪国際で2:22:17と、選考基準タイム以内での圧倒的強さを見せた福士加代子選手は代表の有力候補ではあったものの、好記録が出やすい名古屋ウィメンズの結果次第という陸連側の態度保留に苛立ちを募らせていたことと思います。
そこで福士選手サイドは名古屋ウィメンズの一般枠でのエントリーという強硬策にでます。同じく、当確ライン上にいた吉田選手もエントリーを発表。皆、五輪の舞台に立つことを目標に日々努力してきたわけだから当然ではあるものの、残り2枠をめぐってレース以外でも熾烈な争いが繰り広げられました。
結局のところ、福士選手と吉田選手の名古屋参戦は見送られたものの、レース開始前から選考の行方をめぐって非常に注目された大会であったことは間違いありません。
名古屋の真剣勝負の裏で
さて、そんな五輪選考レースを尻目に我が家では奥さんとのチャンネル争いという熾烈な戦いが地味に繰り広げられていました。
スタート時こそフジテレビにCHが合わされていたものの、朝食のパンを買いに行った一瞬の隙を突かれて日テレに移行。その後、CMのたびにフジにCHを合わせたり、奥さんが洗濯機の前に立っているときにはちらっとレースの行方を確認しにいったり。。一進一退の攻防を繰り広げます。
そしてレースも終盤、ペースメーカーが外れる30km過ぎで完全にフジテレビに固定。なんとかレースの行方を見守ることができたのでした。
さて、そんな家庭内ウラ話はどうでもよくて、レースの行方です。
30km以降、勝負は動く
30kmでペースメーカーが外れると同時に、大方の予想通り、一気にレースが展開します。
昨年トップのキルワがギアをチェンジすると、唯一ついていったのは田中智美選手のみ。田中選手は一昨年横浜国際マラソンでの世界選手権代表選考において、積極的なレース展開ができなかったことを理由に選考から漏れてしまいます。その苦い経験を活かし、今回は残り12kmを残しながら積極的なレース展開に打って出ます。
37km手前で小原怜選手に追いつかれるものの、ラスト130mで壮絶なデッドヒートを制し、日本人トップでゴール。リオ五輪への切符をほぼ確実なものとしました。
それにしても1秒差に泣いた小原選手の悔しさは如何許りだったことかと思いやられます。我々には想像もできないくらいの壮絶な練習量をこなし、この日のために準備をしてきたことと思いますので、ゴール後に倒れ込み天を仰ぐ姿には思わず目頭が熱くなりました。
選考基準についての様々な意見
ちなみに、余計な話かもしれませんが今回の小原選手の力走で、一部では世界選手権7位で早々に代表内定が決まっていた伊藤舞選手の選考に疑問の声も上がっているよう。
確かにタイムだけ見ると2:28:48は他の選考レースでの結果と比べると劣るもののように見えるかもしれません。
タイムでの選考というのは一見するとシンプルで分かりやすい物差しのようにも見えます。しかし、コース条件やその日の天候、レース展開によっても最終的なタイムは変わってくるため、一概にタイム差だけで優劣をつけるのは得策ではありません。
五輪本番において重要なのは、刻一刻と変わるレース展開の中、いかに勝負に負けないかということだと思います。
そういった意味では今回の田中選手の積極的なレース展開、ラストスパートで競り勝つ勝負強さというのは、これまでの経験からくる悔しさをバネに日々のトレーニングを積んだ賜物で有ると思います。
一方、世界選手権で7位に入った伊藤舞選手の選考も、決められた選考ルールの中、夏の大会であるといった当日の条件下において、7位入賞した、という勝負の結果による選考ということで納得できるものと思います。
現状の複数大会における選考の是非も問われているようですが、大事なのはこれだけの期間女子マラソンの代表選考が注目され、マスコミにも取り上げられるということ。
当事者たちにとっては結果が出るまでつらいかもしれませんが、女子マラソンが日本国内でこれだけ注目され、人気を保っているのも、こういった国内大会で選考レースが複数行われることによる注目度のアップや、そこにおける人間ドラマに人々はひきつけられるのだと思います。
多くのマスコミに取り上げられれば、企業はそこに価値を感じてスポンサードしやすくなりますし、選手たちの競技環境が良くなったり、一般ランナーの増加といった草の根的な広がりが期待できる側面があることは、言うまでもありません。
(高橋尚子さんも選考レースの一本化に対しては複数大会での選考によるマラソン人気への寄与といった理由から反対を表明していました)
レースに向けた調整の重要性
いずれにしても、決められた基準の中で自分の実力をアピールし、結果を出していくためには、レース本番に向け心と身体を整えていく調整力や、ピーキングといった考え方も非常に重要な考え方ですよね。
自分も今週末の板橋シティマラソンに向けて体調を万全にしていきたいのはヤマヤマなんですが、昨晩少し熱があり、本日もずっとアタマがふらふらしていて夕方早退してしまいました。リオ五輪マラソン代表選考レースとはまったく次元が違いますが、この半年、一年とこの日のために準備をしてきました。後悔がないようしっかりと準備をしていきたいと思った月曜の夜です。
でわでわ。